君の星、僕の星


「あー!またアイス食べてる!」


背を向けあって荷造りを進めているはずなのに、後方から音がしなくなっていた。
単身者用の小さな冷蔵庫の脇に佇む彼と視線が合う。


「ちょっと、誰の引っ越し準備だと思ってんの?」

「わーかってるよ。ちょっとだけ休憩。糖分補給!食う?」


先生は小さなバニラバーをかじりながら言った。


「……要らないよ」


私は大げさにため息を吐いて、また段ボールと向き合った。
タオルを大きさごとに分別しながら詰めている最中だ。


「お、」


嬉しそうな声が聞こえたが、今度は振り返らなかった。


「未央。見て」


軽快な足音が近づいてきて、隣に屈んだ彼に顔を覗き込まれる。



「俺、今日ツイてるかも?」



先生の手にある、アイスがすっかり舐めとられた木の棒には『当たり』と大きく書いてある。


冷凍庫に常備されているそれをこの家で何本も食べた事があるけれど、私も先生も当たりなんて出た事が無かった。
当たりつきのアイスである事さえ知らなかった。


それがよりによって今日。

先生とさよならする日に初めて出るなんて。