これは少し昔の話。

炉暮「ここ、どこ?」

目が覚めると、時雨は暗くて寒い場所に閉じこめられていた

炉暮 「土のにおい?」

まだ幼い炉暮にもこうなった理由はすぐにわかった。理由は…



炉暮が人ではないからだ。


炉暮の両親は、炉暮が10歳になるまで炉暮が人ではないことに気がつかなかった。

そして両親は、炉暮が10歳になった時、炉暮が人ではないことに気がついた。

炉暮は、人間ではなく、半妖だったのだ。狼と人の半妖。

半妖が人間と明らかに違う点。それは、妖力が使えること。

まだ幼い炉暮は、自分で自分の妖力をコントロールできなかった。

炉暮の妖力は、人の傷が治せる事。それだけだった。