秘書室に戻ると、

「こちらに書類がありますので、よろしくお願いします」

と晴加がプリントアウトした資料を置いてゆく。

「ところで堤くん」

「はい」

「新しく来た社長は言葉がタメグチなんやが、あれは何ぞあるんか?」

「詳しくは分かりません」

それっきりであった。

が。

昼休みに近所の広場で弁当を使っていると、

「伊福部室長!」

とコンビニの袋を下げたさとみが馳せ寄ってきた。

「五十嵐くん」

「晴加先輩、怖いですよね」

さとみはコロコロと笑っていた。

「そこまで笑わんでも」

「だってあんなに怖い顔をした秘書なんか、見たことないですよ」

たしかにさとみの言う通りではある。