―――沈黙。

光君と、目が合う。

光君は目をそらさず、私を見つめたままポケットからケータイを取りだした。

「あ、姉ちゃん?俺だけど。・・うん。ちょっと、部屋貸して。・・うん。・・そんな感じ。・・うん、わかってる・・うん。あ、それから、服、借りるから。うん、じゃ」

ずっと、私をみつめたまま、光君は話し終えると、私の手首をぎゅっと掴んで歩きだした。


『ま、待って。ここ・・ねえ、ちょっとっ』


「静かにしてください。誘拐犯だと思われます」



―――ある意味誘拐犯よりタチ悪いじゃん。