家の前について、
繋がれた手が、自然と離れる。
なんだか名残惜しい。

『今日は、ありがとう』

広瀬君は、下を向いて髪の毛をクシャクシャっとしてから
私をぎゅっと抱きしめた。
あんまりにも急だったから
私は固まったまま 動けなかった。

「あんまり 心配かけないでください」
『・・・・・・・』

くるりと振り向き、彼が去っていく。

そっけないほどにあっさりと
彼は一度も振り向くことなく帰っていった。