『ううん。すごく、素敵。ちょっと感動しちゃった。
広瀬君ならなれるよ。きっと、一流の設計士になれるよ。
広瀬君が設計したビルとか、見てみたいな~』

私は再び歩きだした。
遠くのビルの隙間から、夕焼けのオレンジ色の空が見える。

少し先を行く広瀬君の背中に
影が落ちて
広瀬君がこのまま
夕焼けに溶けてしまいそうで
気づけは私は広瀬君に
手を伸ばしていた。

すると
広瀬君が振り返った。
広瀬君に向かって伸ばした手を
私は急いでひっこめる。

広瀬君はその場で立ち止まったまま
私に向かって手を差し出した。

私は
差し出されたその手を
ぎゅっと握った。