続*おやすみを言う前に


しばらく歩き続けると、御本殿が見えてきた。

鳥居と同じ赤色で風格のある佇まい。大勢の人が集まっている。

パワースポットだという箱根神社は、麻衣子が行きたいということで真っ先に予定に組み込んだ。教師になれるように祈願するつもりなのかもしれない。


「着いたな。歩いたら腹へった。」

「私も。お参りしたらお昼にしよっか?」

「そうやな。何食べたい?」


喋っているうちにどんどん前の参拝客がはけていき、俺たちの番になる。まず事前に麻衣子が調べてくれたことを教わりながら手水を行い、二拝二拍手一拝の作法でお参りをした。

作法なんかなんでもええやん、と正直思わなくもないけれど、正式な方法でお参りをしてみたらなんとなく背筋が伸びた。

自分ひとりなら、もしくは俺と似たような人と一緒なら、作法だなんだは気にしないだろう。麻衣子は自分と正反対のところがいくつもあって。むしろ共通点の方が少ないくらいで。

出身も食べ物の好みも趣味も、今回の旅行にしたって計画を立てるか立たないかだって、洗濯物の干し方ひとつ取ってみても全然違うのに。

いや、きっと違うから惹かれるのだろう。