「ただいまー。」 残業を終えて帰宅した午後十時過ぎ。 部屋は真っ暗。廊下の先のドアの隙間から光が漏れているだけ。 教員採用試験の一次選考まであと一週間を切った。 日々今年の最高気温を更新していくのと比例して、麻衣子の集中力と焦りも限界まで張り詰めている。 本当は塾講師のバイトも休みたいところなんだろうが、中学生の期末テストとかぶるため休めず、その分睡眠時間や休憩を削っているようだ。