「ここが祭殿です」


祭殿の白い階段を上る。
祭壇の真ん中は石の輪がものを取り囲んでいた。


「これです」


透明なドームに守られている箱は、銀色で、ところどころ黒く変色している。レミーさんがドームに触れると、ドームは一瞬で姿を消す。


「困った時にこの箱を開けてください」


「中身は何ですか?」


仄矢が聞くと、知りませんと答えた。
知りません!?管理している冥府の人が知らないものを使うのって……大丈夫なのかな?


「とにかく困った時に開けてください。キット役に立つと思います。後、戦いとは関係ないことで使うと死後怒られます。仄矢さんの場合、天界に戻った時に謹慎を受けます」


「中身がわからないものをくだらない用で使えるわけがありません」


仄矢は困惑してそう言った。レミーさんは目を細め、箱を持ちながら肩を揺らして笑う。
そして仄矢の手の上にそっと置いた。


高さは十五センチくらい。よく見ると美しい彫刻が施されている。
蓋は曲線を描いていて、これが金色なら絵本で見た宝箱にそっくりだ。


私たちは箱を受け取った後、さっきの場所に戻った。