「仄矢、その双眼鏡何年くらい使ってるの?」


「何年……?そう聞かれると答えられません。私が天使になる前から使ってますから。……時の流れも違うため、何年生きたのかわからなくなりました」


仄矢は元から天使ではない。なら、天使になる前は?
双眼鏡から何かわからないかな……と考えてみる。


冒険家とか?あと、双眼鏡を使う人って……。


「もうそろそろ行きましょうか」


思い付きそうだったところで、仄矢に邪魔された。


「白旗は持っていますね。攻撃を受けそうになったらバリアを張ることをイメージしてください」


「うん、わかってる」


失敗できない。あのときみたいに守るんだ……!
念じてみたけど、バリアは現れない。もしも、本当に攻撃された時に張れなかったら、死んでしまうかもしれない。


もう一度念じてみる。


「なんで出ないの……!」


他に条件があるの?
下ろした白旗を焦りながら見ていた。