夜、窓を開けて外を見ていた。涼しい風が顔にかかる。思いっきり息を吸うと、すっとする。
ボーッとしていると、空から何かが向かってきていることに気がつかなかった。


ガタッ。


やっと気付いた。


窓につかまっていたのは仄矢だった。


「仄矢……?」


「時は来ました」


仄矢が部屋の中に入って来ようとするので、窓から離れる。仄矢は靴を脱いで、窓から降りる。


「それじゃ、また旅に出るんだね!」


「はい……その前に少しやることがあります」


やること……?何かあったのかな?


「空操禁書の魔力源を断ちます」


真面目な顔で、難しいことを言った。それだけ言われても分からない。


「魔力源って?」


「空操禁書は魔力で動きますから、空操禁書が魔力を手に入れることができなければ動けません。もしこれが成功すれば空操禁書は弱体化します」


成程。空操禁書と戦わずに弱体化させることができるし、暴走も止められる。だって何も出来なくなるんだから。


「出発の日はどうしますか?」


「明日の朝早く。青を叩き起こして」


こういうのは出来るだけ早くがいい。さあ青、せいぜい早く寝るんだよ。明日は早いんだからね。
そう思い、笑っていることを青は知らない。



「何だか寒いですね。今日はもう早く寝ましょう」