仄矢が、重要な話をするかもしれないと言うので、仄矢の部屋に集まった。
私は白旗を取ってから部屋に入った。


「通信を傍受しました。やっぱりあの人ですね……」


仄矢が右耳に手を当てて言った。みんながすぐ仄矢を見る。
白旗を持つ手に力が入る。


オレガノさんたちが水晶玉に迫るように集まった。



「空操禁書の協力者は、ミルフィさんです」


部屋が静まり返る。
私たちを笑顔でもてなしてくれた、あの人が協力者なんだ。


「そんな……」


「オレガノさん、本当なんです。雑音を取り除き、ミルフィさんに集中させると……途の本との通信が聞こえました」


途の本……聞いたことがない。
そもそも、空操禁書って何冊あるの?


「途の本とは高度な魔法を使って通信していました。魔力があるからですね……あのときよりも高くなってる……」


「それで、通信の詳しい内容は?」


青は焦る仄矢に、冷静に聞いた。


「私たちが帰る時は、紙や写真を奪えと……。本を出版すれば、冥府から帰ってきたことになるからです。私たちは空操禁書の本拠地に連れていくらしいです」


「じゃあ、みんな空操禁書の本拠地にいるの?」


「それはわかりません。ですが、」


水晶玉が赤い光を発する。


「明日、ミルフィさんを捕まえ魔力源を破壊します。明日に備え、各自体調管理を怠らないように」


言い終えると、赤い光は消えた。


「桃子さん、明日はその白旗を持っていてください。魔力源を壊すときに必要ですから」


「わかった」


だから白旗を持ちたくなったんだ。
明日は激しい戦いになりそうだ。バリアを張って、守るんだ。


もう誰も死なないようにする。みんなで帰ろう。