契約時、交渉成立した場合に主人がパートナーに刻むのが普通なのだ

まあわざわざ顔に刻まれてる奴なんて見たことないけど

この男はどこまでも変わってるなと思いながらも熱い魔力の塊が左の目から頬にかけてジワリと刻まれていく感覚に目を閉じる

誰かに支配されるというのはこんな感じなのか

まるで未知の世界だったことの体験は素直に感動する

人間に従うなんてありえないと思っていたし、僕を従えることのできる人間なんて居ないと思い込んでいた

自分の位の高さも自負していたほどだからこそこれからの先行きは不安であり、興味もある

魔法陣が小さくなり、僕の周りに人間の魔力が凝縮され、身体の中に入ってくる

それは完全なる支配を認識させられているのと同時に腹部のダメージも癒してくれた

薄らと目を開けば自分の襟足の長い髪がゆらゆらと揺れて、強く頼もしい魔力の光に包まれていることに安堵する


「お前は一生、俺のものだ」


魔法陣と共に魔力が完全に僕の身体を支配し、顔に刻印が刻まれてしまったと同時…鴟梟の声が耳の奥に響いてきた