やれやれと肩をすくめる姿にはイライラが募りに募っていて決壊寸前だった


「貴様、僕をなんだと思っている。たかが人間が僕を従えるだと?笑わせるなっ!!」


轟くような雷と同じくらい低い声を震わせて醜い姿で迫った

大きく口を開けてまさに喰らおうとしたのだ

あっさりと決壊した怒りと共に一瞬にして丸呑みにしてやろうと躊躇いなく男の頭の上から覆いかぶさるように口を開いた

でも…男は顔を上げて包帯で覆われ、目も見えないのに口元に弧を描くだけで変わらない口調のまま…



「行儀の悪い子だ。マナーも教えないとダメかな?」



言うや否やその男は僕の足を引っかけてきた

特別な力を使ったわけではない

立っている足を引っかけられたら人間とか人間じゃないとか関係なくバランスは崩れて尻餅をつくというもの

ドスン、と醜く大きな身体が床に沈む

男はゆっくりと近寄ってきて僕の上にのしっと足を置いた

その瞬間、何キロあるのかと思うほど重力の圧迫感が腹に落ちてきて


「グアァァッ!!!」


醜い声が響き、苦しみに悶える

なんなんだ、この男は

わけのわからないまま苦痛だけを与えられて、息もできないまま骨や肉が潰されていく感覚

白い男はただただ口元に弧を描いて僕の腹に足を乗せている