「さて契約内容だが…」
しかしながら僕の怒りにも魔力にもとことん反応しない目の前の男
どういうことだ
考えられるのは魔力量の少ない人間で魔法陣の力だけを頼って僕を召喚したか
いや、それはない
むしろそれなら僕は魔法陣を壊して今すぐ喰らえるはずだ
では、それなりに力を有しているからこそあえて僕を無視しているというのか
なんとも気にくわない男だ
なんて思いながら憎々しさだけが募っている僕に対して男は外に跳ねている白髪を揺らして言ってのける
「俺に従え」
それが何を意味するかわからないほど馬鹿ではない
腕を組み、小首を傾げてそれだけだと言いたげな態度が本当に気にくわない
「お前は僕をパートナーにすると言うのか?」
グルッと喉を震わせて自分の濃い魔力をあからさまに滲み出していた
バリバリッと外では雷鳴が轟き、部屋の中をチカチカさせている
不気味な空間で男は口元の笑みを消して
「そうだ。同じことを二度言わせるな。本当に馬鹿だな。仕方ないから俺が教育もしてやる」
