「おい、お前は女か?男か?雌?雄?性別とかあるのか?」


問われることは七つの大罪としての義務や能力、地位や暮らし方ではなく、今まで聞かれたこともない質問ばかり

自分の手から視線を上げて答えようと口を開いてギョッとしていた

肩を上げて声を飲み込み、目を丸くして…まさに人間が僕を見てよくする反応をしていたのだ

だって真白い人間がいつの間にか魔法陣の中にまで入り込み、僕のことを覗き込んでいたら驚くだろう

ヌッと出てきた真っ白な人間は口元だけに弧を描き、煌々と光る雷に照らされて下からこちらを見つめてくる。不気味以外の何者でもない

サラリと揺れる白髪は右側だけ長く、ゆるゆると三つ編みされていたりもして、左側は短く真紅の結晶がシャランと揺れていた

顔の上半分は全て包帯に覆われていて、纏う衣類も数百年、数千年前に良く人間が着ていたものに似ていた

たしか着物とかいうものだ

しかも魔法でもかけているのか、真白い布の中で赤い鞠がコロコロと転がり、模様が動いていた

取り敢えず何もかもが不気味であった

普通ならここで大声を上げても可笑しくないと思う