「どうして俺が俺の意思でたった一人を選ぶんだ。ありえない。むしろ俺は俺のために俺の下僕となり俺の欲求を満たしてくれそうなモノを自分の魔力量に伴って世界に選択させた側だ」


何言ってんだ、バカなのかと言われているようだった

なんなんだ、この人間は

全く会話がかみ合わないどころか、こちらの質問に対して悪態混じりで返ってくる


「……」


なんて返せばいいんだろうか?

初めて出会ったタイプの人間に一瞬惚けてしまった

相変わらず暗闇の部屋の中

雷雨の音が近くで聞こえて不気味だというのに…

僕の姿に一切の恐怖も感じない

喚び出した人間は少ながらず僕を見て縮みあがるモノなのに


「おい、何度も言わせるな。貴様は何者だと聞いているんだ」


まるで僕が見えていないような言い方

まるで僕を下等種族のように扱う態度

気に食わなかった。何もかも。

喰らってやる

頭に浮かんだのはそれだけで…

けれど喚び出された以上、向こうの魔力量が今の僕に匹敵し、契約内容に伴う代償の支払いを提示しなければならない

それができれば契約完了。出来なければ交渉決裂とみなして喰らえるのだ

召喚魔法というのは何度体験しても面倒である

まあ全て交渉決裂ではあったし、今回もそうなるだろうと特別な期待もせずに人間の質問に答えた