語り終えた頃には空は朝日を迎え入れる準備をしていた。





俯いていた顔を上げ光里を見た。



話している時ずっと下を見ていたから気付かなかった。




光里がずっと僕の顔を見ながら聞いてくれていたことに…そして







温かな涙を流してくれていたことに…



それを拭き取らず綺麗に頬をつたらせていたのだろうか


布団の上には無数の円い濡れた跡がある。




光里は何も答えなかった。



だから僕も何も言わなかった。



静かな空気が苦痛ではなくて




…癒されてくような感じがした。




変に同情され言葉をかけられるよりいい。





「雪斗は…」




鼻声で光里は




「…逃げ出したかったんだね…でも逃げ道がなくて、苦しんでもがいたんだよね。…もう大丈夫だよ…私がいるから」



「ねぇ…抱き締めていい?」




頷く間もなくその小さな肩を引き寄せた。



こんな場面で不謹慎かもしれない。



けど…嬉しかった。