後ろを振り返ると鈴未さんはもう診察室にはいなかった。
あぁ、そっか忙しいんだ。
思考はぼやけて、違うことばかり考えていた。
医者の、以上です。の言葉で我に反り診察室を出た。
帰り道は苦痛。
何も話さないでお母さんの3歩後を付いて歩いた。
きっと帰ったらお父さんに話すんだろうな…。
…何を言われるんだろう。
…僕は、いらないもんな。
きっと何も言われない。
家に着いたと共に部屋に直行した。
明日から入院。
荷物の用意をしなきゃ。
最小限に押さえ無駄なものは入れなかった。
大切なものは本しかなかったから、現実からにげられる本を大事に鞄に納めたところで部屋のドアがノックされた。
「…はい」
「私だ」
威厳のあるこの声はお父さんだ。
「明日から入院らしいな」
息子の病気は心配しないの?
「…………はい」
「病院の人達に迷惑かけるなよ」
それだけを残して出ていった。
心配したのは僕じゃなくて自分の面子。


