片想い【完】




と、思っていたが




「静香ちゃん」





「っ、」



簡単に見つかってしまった。




体育館で行った始業式のあと教室に戻り、HRを受けて大量のプリントを受け取りそれをかばんに詰め込んで帰ろうとしていた時。




先輩が教室の前に現れた。




あの日以来の先輩は相変わらずで、ちょっと肌が黒くなっている。





再びクラスの視線が私に集まる。





私はみんなの視線を気にしつつ先輩のいる教室前の廊下まで出る。




「先輩、」



「ちょっと来て。」




そう言って手を掴まれて引っ張られる。先輩の歩く速度は早くて転けそうになりながらついていく。




一瞬の出来事に頭がついていかない。






表情は笑顔だったけど、目の奥は笑っていなくてなんだかすごく怖かった。