「あの私用事あるんで。」
もうこれ以上関わらないって決めたんだ。
もうこれ以上苦しい思いなんてしたくない。
もうこれ以上先輩に迷惑かけたくない。
もうこれ以上先輩を好きになりたくない。
「待って。」
ベンチから立ち上がって先輩をおいてその場を去ろうとした私の腕を先輩が掴む。
「なんですか。」
私は先輩に背を向けたまま言う。
「静香ちゃんは優しすぎるから心配なんだ。…なにかあったら相談に乗るから。」
どうして先輩は人が忘れようとしてるときにそんな優しい言葉を投げかけるの。
離れたくなくなっちゃうからやめてほしい。
でも私は離れなくちゃ。そう自分に言い聞かせて先輩の手を振りほどいた。



