そんな佐田先輩に近づいて、
「佐田先輩おはようございます。」
「…ぁ、静香ちゃん。おはよう。」
もちろん声をかければ、こっちを向いて優しく挨拶をしてくれる。
佐田先輩とは委員会が一緒でよく話すようになり、好きなバンドが一緒で意気投合した。
でもやっぱり距離はたかが先輩と後輩の関係で、お世辞にも仲がいいとは言えない。
でも先輩はそんな間柄の私のことでさえ、『静香ちゃん』なんて下の名前で呼ぶからずるいと思う。
目が合うたび、声を聞くたび、好きっていう気持ちが大きくなって、好きだけど苦しい気持ちいっぱいになる。
叶わないなんて分かってる。