泣いてしまったのが恥ずかしくて、私は教室を飛び出した。背中からクラスメートが私を呼ぶ声が聞こえる。
無我夢中で廊下を走る。
廊下の角を曲がろうとした時、佐田先輩の声が聞こえた。
「佐田先輩は中寄さんとどういう関係なんですかぁ〜?」
私にCDを借りて去った先輩を追いかけたのか、ギャル軍団の数人と佐田先輩が話している声が聞こえる。
いつも話している時より女の子らしい声を発しているギャル。
「…どうって先輩と後輩の関係だけど?」
「佐田先輩は中寄さんのこと好きなんですかぁ?」
やめてよそんな質問。
「…いや、ただの後輩だよ。」
その言葉にさらに泣きそうになる。心をえぐるには十分なその言葉。
分かってるのにどうしてこんなにも苦しいんだろう。
聞いただけで分かる先輩の困っている声。
私迷惑ばっかりかけてる。
これ以上会話を聞いているのがこわくて反対方向に逃げる。



