努力に恋をする




 『ふぁ〜』

 大っきい欠伸をして伸びをする。

 時計を見ると短針が5長針が3。


 『17:15か。ちょっと寝すぎたな。』


 体を起こす。
 あ、起きれた。腕がないからか。

 、、、腕。

 あぁ!!あいつ!!!
 思い出したらまたイライラしてきた。


 次会ったら絶対文句言ってやる!!!



 そんなことを考えながら
 教室に向かう。



 ーガヤガヤガヤー



 あれ?教室が騒がしい。
 みんな部活とかないのかな?



 ーガラッー



 みんなが私に視線を向ける。



 『わぁーー!!!!さおーーー!!』

 『優!?びっくりさせんとってよ!』

 『元気になってるーーー!!!
  良かったーーーー!!!
  保健室迎えに行こうと思ってたん
  やけど遠足の班決めとけって
  言われちゃってさ。ごめん!!!』

 『全然いいよ。
  ありがとう。気持ちだけで十分!』


 にっこり微笑む。
 優が頬を染めて微笑み返してくれる。
 みんなも頬を染めて微笑み返してくれる。
 本当にいいクラスやな〜。


 ー可愛いー


 みんなが自分の笑顔に惚れたなんて
 1ミリも気づかないのが山部沙織だ。
 無自覚の美人。なんて破壊力。


 『よーーし!!!さおも来たし
  班決めしよーーーー!!!!!』


 『『『おーーー!!!』』』


 遠足か。1年の時も優と一緒で
 振り回された記憶しかない。
 多分今年もそうだろうな。
 振り回されるけど何気に楽しいから
 毎年優となる。


 『優、今年も一緒に行こう。』

 『あったりまえ!!
  あ、でも今年は男女で4人グループ
  じゃないとダメらしいんだよね。
  さお、誰がいいとかある?』

 『特にないかな。』

 『了解!そんじゃまぁ
  面白いヤツなら誰でもいっか!!』

 『何その優の基準。笑』

 『いやいや、1番大事!!!』

 『優が楽しいならあたしも楽しいから
  おまかせするけどね。』

 『さーーおーー!!!』


 わざとらしく泣き真似をする優を見て
 いつも通り笑ってた。

 すると、、


 『よし、山見!!!
  だったら俺らと組もうぜ!!!』

 えっと、この人は、、誰?

 『ん?柏木か!
  ではお主をアピールして見せよ!!』

 『拙者のアピールポイントは、、、、
  これだーーー!!!!!』

 そう叫びながらカリカリの体で
 ボディヴィルダーみたいなポーズをとる。

 『あはははははは!!!!!
  何それ!!!カリカリやん!!!!
  気に入った!!組もう!!
  柏木、ペアは?誰?』

 『よっしゃー!!!
  あー、俺のペアは圭介!!』

 『尾方ね!了解!
  さお、柏木と尾方でいい?』

 ぼーっとやりとりを聞いてたあたしに
 急に話がふられた

 『え!?あ!うん!!大丈夫!!』



 『大丈夫ってなんだよ。』



 聞いた事のある声。


 この声って、、もしかして、、、



 そこにいたのは
 今日会った保健室のイケメン。



 、、、なんで?



 !?!?!?



 『え!?なんで!なんでいるの!?』

 『なんでってこのクラスだから。』

 『聞いてない!!』

 『言ってない。』

 『はぁーー!??』


 こーーいーーつーーー!!!!!


 『あれ?さおと尾方知り合い?』

 『え?そうなん?圭介』


 しまった。まださおに話してない。
 突然すぎて何も考えずに会話してた。
 ど、ど、どうしよう。


 『うん、ちょっと、訳あり。』


 、、、、は?


 、、、、何言ってんの?


 、、、、こいつ。


 完全に誤解を生む言い方やん!?!?
 

 『なになになになに〜??
  訳あり〜??聞いてないな〜?
  沙織ちゃーーーん??』


 あわわ。やばい、優が、半ギレだ。


 『ちょ、ちょ、ちょっとまって!!
  後で説明するから!!』

 『はいはい。後でね〜〜。』


 『ちょいちょい!!!
  圭介は俺に説明な!!!!』

 『めんどくせぇ。』




 そして班決めが終わり。
 即刻優にファミレスに連行され
 説教もされつつすべて話した。





 『いやー、でもあの尾方が
  そんなやり手とは思わなかったな〜』

 『でもあの人チャラくはないと思う』

 『は?』

 『いや、だから、、、『いや、まって』

 『初対面でベッド潜り込んでたヤツが
  チャラくないわけないでしょ。
  沙織の目は節穴か。』

 『節穴じゃない。
  あの人綺麗に泣いてたから。』

 『は?』

 『だーかーら!綺麗に泣いてたの!』

 『、、、、、まったく理解できん。』

 『うっ。もういいよ〜だ。』

 『それでさ、、、沙織。』

 『ん?』

 『尾方はあいつより好きになりそう?』

 『、、、、、』

 『、、、わかんない、、か。』

 『、、、うん。、、でも、、、
  なんか、、あの人と話してる自分は
  素のままな感じが、、する。』

 『、、そっか。良かった良かった♪』



 あたしには、彼氏がいた。
 本当に大好きだった、、私の最愛の人。





 目の前から急に消えた。私の、、最愛の人。