努力に恋をする



 始業式から1週間が経った。


 山部の目の中に俺が映ることはない。


 俺ばっか勝手に目で追ってる。


 それがなんかイライラする。



 『ヘ、、へ、、へクシッ!!』

 『沙織、大丈夫?』

 『、、、、、』

 『うん。保健室まで連れてこか?』

 『、、、、、』

 『了解!』


 山見の声はデカいからいつも聞こえる。
 山部の声はいつも小さくて聞こえない。



 山部がフラつく足で教室を出て行く。


 ーガラガラー


 『よーーし。席につけーー。』

 『武士男!!沙織体調悪いから保健室!!』

 『山部か。
  報告した事は褒めるが
  名前の呼び方が気にくわん。
  てことで今日はテストするぞーーー。』



 ー エーーーー!?ー



 『げっ。まじかよ。
  俺日本史苦手なんだよ。受けたくねぇ。』

 『学年1位の圭介が何言ってんだよ。』

 『、、、、、』

 『おい、嫌み言ったからって
  そんな怒んなよ、圭介!』

 『俺いい事思いついた。』

 『は?』

 『とりあえずお腹痛いから保健室行くわ。』

 『え?』



 『先生。さっきから腹が痛くて
  保健室に行ってもいいですか?』

 『尾方か。お前ならこのテストぐらい
  抜けても大丈夫だ。』

 『ありがとうございます。』



 チョロい。テストの点が良かったら
 サボりたい放題や。くっくっくっ。


 さーて。今から作戦実行。