『んっ、、』
ん?ここどこだ?
あ。保健室か。しんどくて来たんだった。
今何時だろう。
時計を見ると短針が2長針が6と7の間。
14:32、、か。
寝過ぎた。こんなに寝るつもりなかった。
いつの間にか頭の痛みがない。
残ったのは熱っぽさ。
これぐらいなら授業いけそう。
優はかなりの心配性だから
そろそろ行かないと
泣きながら保健室に走ってきそうだし。
そんな事を考えて ふふっ と笑いながら
体を起こそうと力をいれる。
ーギュッー
お腹のあたりに何かがあたしを締め付ける。
ん?何?制服のスカート引っかかったかな。
そう思って布団をめくってお腹を見る。
『う、、腕?』
目に飛び込んできたのは
程よく筋肉のついたしっかりとした腕。
女の子の腕とは思えない。
という事は、、、、、男の子?
!?!?!?
びっくりして体が硬直する。
意を決して横向きの体勢のまま
かろうじて動く首を動かして振り返る。
ー スーー スーー ー
!?!?!?
待って待って待って待って!??
え、何これ!?夢!?夢なのか???
サラッとした男の子にしては少し長めの
目にかかるぐらいまである
アッシュっぽいダークブラウンの髪。
スッと鼻筋が通っていて
眠っているのに二重のラインがある。
目を開けたら絶対ぱっちり二重だろうな。
一言で言うと イケメン ですね。彼は。
そんな彼があたしを抱き枕の様に抱いて
学校の保健室、1番奥のベッドで寝てる。
パニックになって離れようとする。
ーギュッー
離してくれない。
なんだこのイケメンは。あたしを殺す気か。
叩き起こして
文句の1つでも言ってやろうと
もう一度振り返る。
でも言えなくなった。
彼の目から一筋の涙が流れたから。
そして、
『、、綺麗。』
と思ってしまった。
人が流す涙を綺麗と思うのは初めてだ。
この涙の理由なんて
あたしには分からない。でも、、
一緒に居てあげて起きた時に
この涙を拭ってあげたいって思った。
『ふぅ。』
と息を漏らしてあたしは
後ろのイケメンが起きるのを待とうと思い
顔を背けようとしたとき
彼の目が開いた。起きた。
想像通り、ぱっちり二重。
そんな事を考えながら
あたしは彼の涙を拭う。
『大丈夫。あたしがいる。』
ん?今あたしなんて言った?
ちょっと待て。
イケメンもびっくりして目を見開いてる。
やってしまった。
今にもまた泣き出しそうな目を見て
つい口走ってしまった。
イケメンにイケメンな事をして
あたしは何がしたいんだ。
一気に恥ずかしさも込み上げてくる。
『あっ!?えっ!?えっと!!
今のは!!そのっ!!えっと!!
イケメンにイケメンな事をして
ごめんなさい!!!!!』
あぁー!!またやってしまった!!
テンパり過ぎて何を言ってるんだ!私は!!
『ふふっ、、ふはははは!!』
びっくりした。急に笑い出した。
こんな顔して笑うんだ。
ちゃんと目も笑ってる。
どこかで見た事あるかも。
思い出せないけど。そんな気がする。
『ありがとう、沙織ちゃん。
お陰で気持ちが落ち着いた。』
『え、名前。なんで知ってるの?』
『さて、なんででしょう。』
『教えてくれないの?』
『てゆうかさ、いつまでこうしてたい?』
『え?』
そう言われて気づいた。
学校の保健室の1番奥のベッドで
抱き合ったまま会話してた。
!?!?!?
バッと相手を突き放した。
心臓がバクバクしてる。
『じゃ、俺行くわ。』
『え』
『何?言って欲しくない?』
『そ、そんなんじゃない!!!』
『そっか。そんじゃまたね〜』
ーガラガラ バタンー
今、何が起きてたんやっけ。
なんだこれ。熱い。
熱とは違う熱があたしに変な汗をかかす。
なんなんだあいつは。
知らないヤツに抱きついて寝て。
名前も言わずに去って行きやがった。
最悪。なんであんなヤツに
ドキドキしてんの。
『駄目だ。寝よ。』
あたしはまた眠りについた。
