今日は、遠足!!!

 昨日の夜楽しみ過ぎて寝れなかった!
 なんて、、可愛い事は言えない。笑
 しっかり7時間睡眠。


 いつも通り学校に到着する。



 『さーーおーー!!!こっち!!』


 優が手を振っている。


 人の間をぬって歩いていく。


 『おはよ!優!!』

 『おはよ〜!!さお!!!
  今日は待ちに待った遠足♪遠足♪』

 今にもスキップをしそうな優を見て
 微笑んでいると
 柏木くんと尾方くんが登校してきた。

 『やまみん!沙織ちゃん!おーっす!』

 『蓮!!おーっす♪
  尾方もおっす!!』

 『うす。』

 『2人ともおはよう。』

 『沙織ちゃん、おーっす!!』

 『おはよ。沙織ちゃん。』


 いつもの様に挨拶を交わす。
 でもなんだか緊張する。


 今日は遠足だからみんな私服登校。

 みんないつもと雰囲気が違う。


 ー"やっぱり尾方くんカッコいい!"ー
 ー"うちは柏木派〜!"ー


 へぇ〜〜〜。
 2人ともモテるんや。
 そら顔も整ってるし、モテるか。

 チラッと2人を見る。


 柏木くんは紺色の上着に白T
 薄い色のデニムスキニー
 白のスニーカー
 尾方くんはグレーのトレーナー
 黒スキニーを折りあげて
 黒のスニーカー

 2人ともラフな格好なのに
 身長が高くて様になっている。


 『、、、何。なんか変?』

 『うぇ!?いや、変じゃない!!』



 びっくりした〜。
 カッコよくて見惚れてましたとか
 言える訳ない。



 『さおー!尾方ー!行くよー!!』

 『はーーい!!!』



 優、ナイスタイミング!!!



 そんなこんなでバスに乗り込み
 京都に向かう。


 車内では特に何もなくて
 いつも通りの他愛ない会話をしてた。
 気づいたら目的地に到着。


 『うーーーん!着いたー!!』

 そう言いながら伸びをする。

 『ん〜っ。』

 尾方くんも伸びをしてる。

 優と柏木くんは、、、、


 『イェーイ!!!着いたぜ!!!』
 『ひゃっほーーーーい!!!』


 完全に2人の世界だ。笑
 可愛いってゆうか、微笑ましい。笑


 『よーし。お前らー。
  21時にまたここに帰ってこいよー。
  てことで解散ー。』


 武士男がそうゆうと
 みんなキャッキャ言いながら
 観光をしに行く。


 『よっしゃーー!!!行くぞ!!』

 『おーう!!!』

 柏木くんの掛け声に
 優が返事をして
 あたし達4人も観光をしに行った。


 清水寺、抹茶のパフェ、茶そば
 着物体験、人力車体験、、、



 気がつけばもう19時になっていた。



 腕時計をみながら
 少し寂しい気持ちになっていると
 尾方くんがある提案をしてきた。


 『あいつら2人にしてやろうぜ!』


 ちょっといたずらっぽく笑いながら
 優と柏木くんを見ている。

 その目はとても優しくて
 応援しているんだな、と思った。


 『うん!そうやね!
  じゃあ、あたしお守り買いたいから
  それ付き合って!!』

 『おう。』


 そう約束すると
 尾方くんが2人に向かって叫ぶ。


 『蓮!!山見!!
  ちょっとお守り買いたいから
  行ってくるわ!!!』

 『え!じゃ『おす!俺らはこの辺
  ふらついとくわ!!』

 優の言葉を遮って柏木くんが答える。

 優、顔赤くなってる。可愛い。
 後でいっぱい話聞こうっと。



 2人と別れてお守りを買いに行く。



 ん?待て待て待て。
 優と柏木くんを2人にするって事は
 尾方くんと2人になるって事やん。


 やばい。急にきまづくなってきた。
 何話そう。
 てゆうかお守り買いたいとか
 なんて図々しい事を
 あたしは言ってしまったんや。

 一歩間違えたら
 2人きりになりたかったみたいやん。

 ノォォオオオオ。やってしまった。



 『どした?疲れた?』

 『う、ううん!大丈夫!!』


 尾方くんは普通だ。
 意識するまでも無いってやつか。

 うん、、、納得。

 イケメンがあたしなんか
 意識する方がおかしいっつうの。


 1人でゴタゴタ考えてると
 お守り屋さんに着いた。


 『わぁ〜。可愛い!!』

 『色んな種類があるんやな。』

 『迷うなー。これもいいなー。
  あ、これもいい。』

 『そんなにつけんの?笑』

 『つけへんわ!!笑』


 迷いに迷って結局30分も悩んでた。
 でもお気に入りのお守りが買えた。


 『尾方くんは何か買ったん?』

 『俺はこれ。』

 そういって見せてきたのは猫のお守り。

 『この猫尾方くんみたい。』

 少し寂しそうに笑う黒猫。
 どこか尾方くんに似ている。

 『ハハッ!それどうゆう意味だよ!』

 今日初めてちゃんと見る笑顔。
 笑顔、似合うな〜。
 そんな事を思いながら
 あたしも一緒になって笑う。

 もう一度猫を見る。

 どこかでみた事ある。

 どこだっけ。

 んーと。確か、、、



 始業式の日。

 みんなが笑ってる時
 目だけが笑っていなかった。
 窓際の後ろから2番目の席。


 『、、、尾方くん。』

 『ん?何?』

 『始業式の日。
  尾方くん、今みたいな笑顔じゃ
  なかったやんね。』

 『、、覚えてたんや。』

 『今、思い出した。』

 『そっか。』


 少し沈黙が続く。

 耐えきれなくなって話そうとした時


 『あの日の前日
  3年付き合ってた彼女にフラれて
  あの日な今みたいに笑えなかった。』


 びっくりした。
 フラれたという事にも
 それをあたしに言ってくれてる事にも。

 尾方くんは話を続ける。


 『山見が面白い事をして
  教室中が笑いで溢れてて
  俺も笑いたかっのに
  心から笑えなかった。
  その時に沙織ちゃんが
  こっち見て心配そうな顔をしてた。』


 『、、あ、、あたし?』



 さらにびっくりした。

 あの一瞬の出来事を覚えてくれてた。



 『そ!だから保健室の時には既に
  名前知ってた。』

 『そうだったんだ。』

 『あん時に言ってくれた言葉
  正直びっくりしたけど
  めっちゃ安心した。
  ありがとう。』


 力になれた事が嬉しい。
 いつも優に支えて貰ってるから
 誰かの力になれる事が
 こんなに嬉しいって初めて知った。


 『こんなあたしでも力になれて
  嬉しい。あたしこそありがとう。』


 目が合って微笑み合う。


 『もうそろそろ集合時間や。』

 『よし、じゃあ帰ろっか。』


 2人並んで帰る。
 尾方くんの隣は落ち着く。


 さりげなく車道側を歩いてくれる。


 優しさは嬉しいし
 なんだかくすぐったくなる。

 でもそれと同時にモヤモヤが
 あたしを襲う。
 なんだろう。なんだか不安。



 そんなことを考えながら
 尾方くんと集合場所に向かった。