すんすんと鼻をすすってソファに座った豹くんに促されるまま膝の上に横抱きされるように腰を下ろす。
豹くんの胸にすりすりと頬ずりして甘えると嫌がる素振りも見せず、わたしの好きなようにさせてくれて髪を梳いてくれる。
言葉はないけど触れる体温や態度はとても優しくて、豹くんはわたしを甘やかせてくれる。そんな豹くんが大好きなの。だからそのお返しがしたかったのに……
わたしっていつもそう。何かしようとしても空回りで、裏目に出てしまう。本当に仕事以外は役立たずで何もできなくて……っ
「うっ、ううぅ…っ」
「(また泣くのか…)」
ボロボロと再び涙が溢れてきてこぼれた雫がエプロンに染みを作る。ふっ、と軽いため息が斜め上から聞こえて顔を上げると静かな瞳が目の前にあって同時に唇に柔らかいものが触れた。
思わずキョトンと瞬きを繰り返す。びっくりしすぎて涙もどこかに引っ込んじゃった。
「止まったか?」
「(コクコク)」
「そうか」
ごしごしと涙で濡れたままだった頰を袖で拭って豹くんを見上げる。
「豹くん、今日はクリスマス・イヴです」
「あぁ」
「だから、豹くんにいつもありがとうって料理作ってあげたかったのに…」
「(それであの惨状か)」
「ごめん、なさい」


