「なあ、千夏」
「何?」

そして、あたしの方を向いた。


「……明日さ、京都に行こうぜ」

あまりに唐突な提案に、あたしは目を丸くさせる。


「はっ?京都?どうして?」
「どうして、って……観光?ほら、今の時期って紅葉綺麗じゃん。それに、明日は日曜日だし」
「いや、そうだけど……急すぎない?」

今日玲汰先生の家に泊まることになったのは一週間ほど前の話なのに、京都に行く気なら、何故その時に言ってくれなかったのだろうか。



「いいじゃん。行きたいんだよ、京都」
「んー……そっか、分かった。いいよ」

だけど、この人の強引な所はよく知っている。