お互いのことを気にしすぎちゃ、駄目だね。
それじゃ、すれ違っちゃうね。
適度な思いやりは必要だけど、それ以上は要らない。
デート、なんて堅苦しく考えちゃ駄目だね。
それじゃ、楽しむことが出来なくなっちゃうね。
「……叶恋」
「ん?」
あたしは透の顔を見る。
透もあたしの顔を見た。
そして、ポケットの中から小さな袋を取り出す。
「……これ、記念に渡そうと思ってたんだ」
「嘘。嬉しい。開けてもいい?」
「もちろん」
小さな袋を開けると、中には、蝶々の形をした可愛らしいピン留めが入っていた。
「すごい可愛い!ありがとう、透。これ、学校で付けられるかなあ」
ピン留めを見つめていると、透が、
「今、付けてみてよ」
と、言った。