ラズベリーな恋模様(A・T)




日が暮れ、子供たちと別れたあたし達は、人のいない堤防で座り、海を眺めていた。

夕陽が沈んでいく、オレンジ色の空と海。
とても綺麗で、だけど寂しくなる色をしている。



「そうだね。可愛かった」
「うん。あんな良い子なんだから、すぐに親見つかるだろうな」
「ねー」


ああ、夕陽が沈んでいく。

今日が、終わっちゃう。



『大切な人と仲良くなくなった時は、ちゃんと気持ちを伝えなさい、って』


そうだ。ちゃんと、気持ちを伝えないと。
好きだよ、って言わないと。


「ねえ、」
「なあ、」

声が重なり、あたしは反射的に透の顔を見た。


「何?」
「いや、そっちこそ」
「あっ、先どうぞ」
「そっちから、どうぞ。大した話でも…ないし」