「叶恋ちゃんも透くんも、全然仲良くないね。喧嘩してるの?」
「えっ……」
びっくりした。
喧嘩、なんてしていないはずなのに。
「喧嘩しちゃったら、ごめんなさいって言わなきゃ駄目だよ。あのね、私の死んだお母さんが言ってたよ。大切な人と仲良くなくなった時は、ちゃんと気持ちを伝えなさい、って」
「……っ」
胸が、ドキンとした。
そうだ。
喧嘩しているわけではないけど、今日一日、透とはなんかギクシャクしていた。
子供たちがいなかったら、きっともっと気まずかったはずだ。
ちゃんと気持ちを伝えなさい、か……。
「ありがとうね」
あたしは女の子の頭を撫でた。
そうだよね。
そうなんだよね。
「楽しかったな」


