「よしっ、じゃあ出かけるか」
瞬はそう言って、徐に立ち上がる。
「えっ、どこに?」
「どこって・・・うーん、海にでも」
「海?またどうして?」
「思いつき?」
「はっ・・・?」
やっぱり、瞬の突拍子もない所は、いつも変わらないようだ。
生徒に手を出す、とかね。
それからあたし達は、瞬の車に乗って、夕方の海へと向かった。
「うわあ、綺麗・・・」
太陽が地平線に沈みかけていて、赤く、とても綺麗な海に感動していると、
ぎゅっ・・・・
いきなり、後ろから瞬に抱き締められた。
「へっ?ちょ、瞬?」
驚いて振り向こうとすると、
「ちょっとだけ、じっとしていて」
耳元でそう囁かれ、あたしの心臓は大きく高鳴った。
もちろん、思考と体はぴたりと固まった。
そんなあたしを他所に、瞬は片方の腕であたしを抱き締めたまま、もう一方の手で何かをしている。
そして、
「冷たっ・・・」


