ラズベリーな恋模様(A・T)




「ありがとう」

あたしは子供にお礼を言って、携帯電話を受け取る。



「透!次、これしようぜ!」
「はあ?それ、落とし穴じゃん……」
「違うよ!透を埋めるんだよ!」
「えっ、またかよ!!」

男の子たちはすっかり透を気に入っちゃって、ずっとこんな調子だ。
それを面倒くさがりながらも、楽しそうに遊んでいる透が、実は少し愛しかったりする。



「ねえねえ、叶恋ちゃん」

そんなことを考えながら透を見つめていると、女の子から声を掛けられた。


「なあに?」
「叶恋ちゃんは、透くんの彼女なんでしょ?」
「へっ……?」

最近の子供はナメてはいけないな、と思った。
あたしは頷く。

「そうだよ。それが、どうしたの?」