ラズベリーな恋模様(A・T)




あたしは息を飲んだ。
透も、動きを止めた。


つまり、この子達は、児童養護施設の子供たちなんだ。
確か、透も……。

透の顔を見ると、透は何かを思い出すように瞳を揺らしていた。



「じゃあ、一緒に来ている大人の人はいるの?」

今度はあたしが尋ねた。


すると、別の男の子が、

「近くに施設があるんだ!だから、俺達だけでよく遊びに来るよ」

と、答えてくれた。

あたしは微笑む。

「そっか。…透、焼き鳥買いに行こう?」
「えっ?……ああ、そうだな」

少し遠い世界に行っていた透だったが、あたしの提案に頷くと、立ち上がった。


「よし、じゃあ、焼き鳥買ってやるよ。行くぞ」

そして、子供たちに微笑みかける。