ラズベリーな恋模様(A・T)




「……誰?」

渉くんはつかつかと教室の中に入ってきて、あたしと岡崎くんの目の前で仁王立ちした。


あーあ、これは面倒くさいパターンだぞ。
渉くん、ヤキモチ妬きだからなあ……。

怒りを露わにした渉くんの表情に、あたしはため息を吐きそうになる。



「クラスメイトの岡崎くんだよ」

そう紹介するが、渉くんは岡崎くんに挨拶もせず、あたしのお弁当を持った。


「行こっ、ルリちゃん」
「えっ、ちょ、渉くん」

そして、さっさと教室を出ようとする。



……しかし。


「待って、瑠梨」


何故か、岡崎くんに腕を掴まれ、止められてしまった。