ラズベリーな恋模様(A・T)




渉くんは面倒くさそうにそう言うと、ふん、と鼻を鳴らしてご飯を食べた。


あたしの好きなものだから、調べてくれた。

それが何だか可愛らしくて、嬉しくて、少しニヤけてしまった。





それから少し経った、ある日の昼休み。



「畑さん、ちょっといい?」

クラスの男子に声を掛けられた。


「岡崎くん、どうしたの?」

彼は最近、よくあたしに絡んでくる男の子。
明るくて、楽しい話を沢山してくれるけど、何を考えているのか分からない瞳が、不思議な雰囲気を放っている。


岡崎くんは、ゆっくりあたしに近付いてきて、

「あのさ、今から……」
「ルリちゃん!!」

ふと、教室のドアが開き、渉くんがあたしを呼ぶ。


「渉くん」
「ご飯食べ……」

あたしの顔を見て笑顔になったのも束の間、あたしの隣に岡崎くんがいることに気付くと、渉くんは不快そうな表情を浮かべた。