ラズベリーな恋模様(A・T)




それは知らなかった。


「ミミクーが妖精だったってことは、知ってた?」
「それも知らなかった」
「本当に好きなのかよ。女子って適当だな」

渉くんは、呆れたようにため息をつく。


あたしは自分の携帯電話に付いているミミクーを見つめた。
そして、心の中で、ミミクーに聞く。

お前、妖精だったのか。


「っていうか、渉くん、ミミクーのこと詳しいね。好きなの?」
「……お前、馬鹿なの?」

何気なく聞いたつもりなのに、渉くんは眉を顰めて、すごく嫌そうにあたしを見つめる。


「……は?」

何故今キレられたんだ、あたし?
馬鹿、ってなんだ?
渉くんよ、また毒舌になってませんか?


「馬鹿って何よ。馬鹿って!!」
「俺がこんなの好きなわけねえだろ」
「ちょ、こんなのって何よ!」

ミミクー様に謝れ!ラズウルちゃんに謝れ!
全国のミミクーファンに謝れ!!
あたしはにわかだけど、本気で好きな人もいるんだよ!


「あー、もう、うるせえな!ルリちゃんが好きって言ってたから、調べたんだよ!」