ずっと、この呼び方。
高校生になっても変わらない。

そう、これが、あたしの“小さな不満”なのだ。


渉くんが中学生の頃は、気にもしていなかった。

いや、初対面でルリちゃんと呼ばれた時は、ものすごく拒絶反応を示したけれども。
それでも、いつの間にかその呼び方に慣れてしまって、何とも思わなくなった。


……でも、今あたしの隣にいるのは、仮にも“高校生”の渉くんだから。

もうそろそろ、対等になりたいって思う。
同じ目線に立って、年下とか年上に縛られない関係になりたいんだ。


ずっと年上面して、年下だって馬鹿にしてたくせに。

だけど、もう少し近い距離になりたいんだよ。



「ルリちゃん、ラズウルって知ってる?」
「何それ?」
「熊の形をしたラズベリーの妖精なんだって。ちなみに、ミミクーの親友らしい」
「えっ、まじか。新キャラ出たんだ」