少女が席に座ると同時に、始業時間を告げるチャイムが鳴り響いた。
それから数秒遅れて、今年の担任と思われる男性教師が入ってきた。
教卓の前で今後の予定等をテキパキと話し終えると、始業式まで時間があるから皆で自己紹介しよう。そう言った。
そしてその勢いを殺さないまま、こう続ける。
「俺は神田拓磨。神田先生でも拓磨先生でも好きなように呼んでくれ。それじゃ次は出席番号一番のやつから頼む」
俺の前の席の少女に視線を合わせると、促すように頷いた。
少女は特に反抗することもなく立ち上がり、口を動かす。
「去年同じ五組だった人たちは知ってると思いますが」
「相田。マスク外してから話してくれな」
紹介を中断させ、神田が苦笑混じりで指摘する。
少女はゆっくりと首を左に傾けつつ、あ、そっか、と呟く。
そして、教室全体が見渡せるように後ろを振り向き、大きなマスクを外した。
瞬間、生徒全員のが息を呑んだ。
去年同じクラスだったはずの三十一番でさえ、小さく感嘆を漏らし、大きく目を見開いていた。
俺の手のひらの方が大きいんじゃないかと思うほど小さな輪郭、顔の中心に控えめに咲いている鼻、透き通った肌、そして何より目を惹いたのは美しいピンクの唇。それにマスクをしていても確認することが出来たぱっちりとした目元、その全てが組み合わさって、誰もが羨む'美少女'がそこに居た。
「相田。去年から同じ人は二年目になるけど、よろしくお願いします」
先程披露した優しいソプラノで、のんびりと短く語り再びマスクをつけて、席についた。
「じゃあ次は二番の一ノ瀬」
神田から指名が入ったものの、すぐに動くことが出来なかった。
そのくらい俺は少女に惹き付けられていた。
卯月から背中を抓られ、ようやくその魔法が解けると、慌てて立ち上がる。
「元一組の一ノ瀬夏樹。一年間よろしく」
言い終わるや否や、卯月が立ち上がり
「俺もこいつと同じ元一組。名前は卯月柊(ウヅキ ヒイラギ)。よろしく」
そして四番、五番と続き、二十分ほどで全員の紹介が終わった。
余談だが三十一番の生徒の名前は村瀬進(ムラセ ススム)というらしい。
それから数秒遅れて、今年の担任と思われる男性教師が入ってきた。
教卓の前で今後の予定等をテキパキと話し終えると、始業式まで時間があるから皆で自己紹介しよう。そう言った。
そしてその勢いを殺さないまま、こう続ける。
「俺は神田拓磨。神田先生でも拓磨先生でも好きなように呼んでくれ。それじゃ次は出席番号一番のやつから頼む」
俺の前の席の少女に視線を合わせると、促すように頷いた。
少女は特に反抗することもなく立ち上がり、口を動かす。
「去年同じ五組だった人たちは知ってると思いますが」
「相田。マスク外してから話してくれな」
紹介を中断させ、神田が苦笑混じりで指摘する。
少女はゆっくりと首を左に傾けつつ、あ、そっか、と呟く。
そして、教室全体が見渡せるように後ろを振り向き、大きなマスクを外した。
瞬間、生徒全員のが息を呑んだ。
去年同じクラスだったはずの三十一番でさえ、小さく感嘆を漏らし、大きく目を見開いていた。
俺の手のひらの方が大きいんじゃないかと思うほど小さな輪郭、顔の中心に控えめに咲いている鼻、透き通った肌、そして何より目を惹いたのは美しいピンクの唇。それにマスクをしていても確認することが出来たぱっちりとした目元、その全てが組み合わさって、誰もが羨む'美少女'がそこに居た。
「相田。去年から同じ人は二年目になるけど、よろしくお願いします」
先程披露した優しいソプラノで、のんびりと短く語り再びマスクをつけて、席についた。
「じゃあ次は二番の一ノ瀬」
神田から指名が入ったものの、すぐに動くことが出来なかった。
そのくらい俺は少女に惹き付けられていた。
卯月から背中を抓られ、ようやくその魔法が解けると、慌てて立ち上がる。
「元一組の一ノ瀬夏樹。一年間よろしく」
言い終わるや否や、卯月が立ち上がり
「俺もこいつと同じ元一組。名前は卯月柊(ウヅキ ヒイラギ)。よろしく」
そして四番、五番と続き、二十分ほどで全員の紹介が終わった。
余談だが三十一番の生徒の名前は村瀬進(ムラセ ススム)というらしい。
