ブスも歩けばイケメンに当たる⁉

…結局、繋がれた手は、経理部のオフィス迄、離されず、女子社員の冷たい目が、とにかく痛かった。

「…ありがとうございました」

お礼を言うと、春人の手を離そうとするも、離してくれず、困惑顔で春人を見上げる。

春人はそんな事気にすることなく、経理部の方に体を向けて、一言言った。

「…伊集院さんのこと、宜しくお願いします」

…その威圧感に圧倒された経理部の社員たちは、思わず頷いていて、私は俯くしかなかった。

ようやく離れた手を握り締め、デスクにつくと、仕事を始めると、一気に周りに人だかり。

怖くて萎縮する。

「…あの、何か?」
「…意外な組み合わせ。付き合ってるの?」

ズバリ聞かれ、…社内恋愛禁止ではないので、頷こうとしたが、目の前の女子社員の怖い目付きに、首を降ってしまった。

…付き合ってるって言えなかった。グスン。

あー、今まで地味に静かに暮らしてきたのに、ここ最近の変わりように、ついていけない。

…憧れの人が彼氏。

…突然のモテ期。

…女子社員からの冷たい視線。

最後はきっといじめられるんだろうな。

そう思うと、怖くてたまらない。


…。

一日の仕事を終えた私は、帰宅。

ソファーに座ってようやくホッとして、大きな溜め息をついた。

「…疲れた」


ふと、鞄から落ちたメガネ屋でもらった封筒が目に映り、それを手に取り、それを開けた。

…割引券と、担当者名刺…まさかのプライベート携帯の番号。