午後4時。

事務処理をしていると、声をかけられた。

「…桜子」
「…ぇ、あ、きよちゃん」

「…これよろしく」
「…あ、うん。やっとく」

笑顔で受け取ると、仕事の続きを始めた。

「…桜子」
「…ん?まだなんかある?」

「…今晩時間ある?」
「…えっと…」

今日は定時に帰って、春人に手料理を作ろうと思っていたのだけど。

ピロロン。そこにLINE。

…相手は春人だった。

『今日は仕事で遅くなる。待ってないで先に寝ろよ』
『わかりました。私も用があるので』

「…桜子?」
「…あ、ゴメン。時間はあるけど?」

「…うん、まぁ、ちょっと」
「…?」

「…とにかく、仕事終わったら、会社出てきすぐの喫茶店で待ってて」
「…うん」

「…あら、お似合いの二人ね?」
「…坂巻さん」

社内一綺麗な坂巻さん。…この服どこかで。

「…なんでしょうか?」

私が問いかけると、優しく微笑み領収書を差し出した。

「…これ、頼めるかしら?」
「…はい、勿論です。処理しておきます」

にこやかに答えると…まだ向こうへいかない。なんで?


「…先程の忠告、肝に命じておいてね、桜子ちゃん?」

「「…」」

先程の忠告?


「…あ!」
「…どうした、桜子?」

不思議そうな顔で私を見るきよちゃんに、私は苦笑いを浮かべ、何でもないと、言うしかなかったけど