言葉にならない言葉を発していると。

突然肩に担がれた。

「…わっ!ちょっ!何やってるんですか?!!」
「…話を聞いてもらうために、捕獲した」

「…き、聞きますから!聞きますから、下ろしてください!」

「…イヤに決まってんだろ」

もう!なんなのこの人!!!

「…榊さん!」
「…いい匂いがする」

「…ぇ、あ」
「…何やってた?」

「…クッキー焼いたんですよ。おやつにでもって」
「…気が利くな」

なっ?!別に榊さんの為ではないのに。

言おうとしたが、言ったら何を言われるかわからないので止めた。

私をソファーに下ろすと、横に座った榊さんは、クッキーを手に取り、食べた。

「…意外と美味い」
「…意外とは、余計です、意外とは!あ、私の紅茶!」

…ホント、榊さんは、マイペース。

私はため息混じりに諦めて、話を進めることにした。

「…で、話ってなんですか?」

私も、クッキーを口に入れる。モグモグと、味わっていると。

「…俺、ずっとここにいるから」
「…!!ゴホッ!ゴホッ!…」

驚きのあまり、クッキーを喉に詰めて咳き込むと、榊さんは、慌てて紅茶を差し出す。

私はなんとかそれを受け取り、飲み込んだ。

「…何やってんだよ」
「…なっ?!さ、榊さんが変なこと言うから!」

「…変なこと?全然変なことじゃない。桜子と一緒にいると、楽しいし、楽だし、幸せなんだ」

…これではまるで、告白じゃないか。

「…冗談よしてくださいよ。大体、何で私なんですか?榊さんには、坂巻さんという、ステキな彼女が」

…あ、また、不機嫌な顔になった。