「…俺さ…」

その時だった。インターホンが鳴ったのは。

「…誰か来たみたいなんで、出ていいですか?」
「…こんな朝早くにか?」

不貞腐れたような顔で言う榊さんに、私は苦笑。

「…現に、インターホンが」
「…出れば?」

もぅ、その顔止めてくださいよ。怖いんだから…

私は、榊さんの膝の上から降りると、玄関に向かいドアを開けた。

「…はーい…きよちゃん、どうしたの?こんな朝早く?」

今日は、仕事は休みだ。一体何の用事?

「…朝早くって、もう9時だけど」

…そうですね、早朝ではない。私は笑ってごまかす。

「…暇なら一緒に出掛けないかなって思ってさ」
「…え?…」

突然家に来て、出かけるお誘い…しかし、家の中には榊さんがいるわけで。

困り顔できよちゃんを見上げると、きよちゃんは、クスッと笑う。

「…まだ、パジャマだな」
「…えぇ、まぁ…あのね…今日は先約があって…だから」

「…そっか…じゃあ、午後からは?」
「…うーん、ちょっとわかんないや、ゴメンね」

私の言葉に納得したかと思ったのだが。…そうでもなかった。

「…時間が空いたら連絡くれよ、な?じゃあ」
「…え、あ、きよちゃん」

私の言葉はお構いなしに、きよちゃんは帰ってしまった。

…なんだったんだ、一体?

私は首をかしげつつ、部屋に戻る…

もう1人、問題児が、いた。

「…誰だった?」
「…え、あー…」

言葉に詰まると、…睨まれた。

「…榊さんの後輩のきよちゃんです」
「…きよちゃん???」

「…相原清春ですよ。同期なんです」