「…」

携帯のアラームで目を覚ます。

目の前のそれに、発狂しそうになるも、自分で自分の口を塞いだ。

…真横で眠る社内一のイケメン男。

不釣り合いな二人。

…二人の相性、10%。

実際、こうやってても、男女の関係になることも皆無。

私がいくら榊さんを男と思っても、想いを寄せても、彼は、私を怪我させた後輩としか思ってない。

「…榊さん、朝ですよ」
「…ぅ、ん、後5分」

ヤバイ。寝起きの榊さんは、めっちゃ可愛いんですけど。

「…起きてもらわないと、私が起きれません」

片足はシーネ&包帯でぐるぐる巻かれているため、榊さんをまたぐことは、無理ですが。

「…一緒に寝よ」

ぎ、ぎゃあぁぁぁぁ!

抱き締めるな!

「…私は榊さんの彼女じゃありませんよ!起きなさい!彼女さんに、怒られますよ!」

「…」

…目を開けた榊さんの顔が、何故だか怖い。…寝起き悪いのか?

「…榊さん、起きたいんですけど」
「…桜子」

「…へ」
「…桜子」

「…はぃ?」

…なぜ、そこで呼び捨て?

「…桜子は俺の彼女じゃないし、俺には彼女なんて者はいない」

「…そ、そうですね。そうなんですか?!!」

前者は納得できるも、後者は納得できないので、あからさまに驚く。

「…桜子」
「…なんですか?」

「…お前は余計な心配すんな」

…しますよ、相手が相手なんで。