…美味しい夕飯が終わると、榊さんは、直ぐに片付けを始める。

それが終わると、ボストンバッグを漁り始めた。

「…榊さん?」
「…風呂借りるな」
「…え、あ」

私の答えを聞くこともなく、さっさとお風呂場に向かった。

「…本当に、マイペースなんだから」

…?!入ったかと思ったら、上がるのはやっ!

「…早くないですか、お風呂」
「…そ?ちゃんと、上から下まで洗ったけど。あ、風呂場も洗っといたから」

…几帳面なんだか、雑なんだかよくわからない人。

…ところで、本当に、泊まる気なのよね、この人?

ご飯食べて、お風呂入って、…どこで寝るの?

一人暮らしの家には、ベッド以外の布団はありませんが?

友達は、このセミダブルのベッドで一緒に寝るし。…て、え、まさか。

「…お布団なんて、ありませんよ?」
「…だろうな。わかってるよそんなこと」

いや、わかってませんよね、その意味が。

…て、あれ?

榊さんは、ソファーに横になった。

拍子抜け。…いや、でも、そんなところで1ヶ月も寝たら、病気になっちゃうよ。

「…榊さん」
「…何?疲れたから寝たいんだけど」

目を瞑ったまま答える榊さんに近づいた。

その気配に気づいたのか、榊さんが、目を開け、こちらを見た。

「…お願いですから、ベッドで寝てください。榊さんが病気になったら、困ります」

その言葉に起き上がった榊さんは、…何で?!!

私を抱き上げベッドに寝かせると、自分もベッドに潜り込んだ。