少女は、一番輝く星を目指しながら走りました。
息が辛くなってきても、走り続けました。

しばらく走っていると段々と、吐く息が白くなり、頬をかすめる風は痛いほど冷たくなってきました。けれど、長い間、走ってきたので体の中はマグマのように熱く、汗で髪は濡れて寒くて、おかしくなりそうでした。

それでも、少女は最後の力を振り絞りました。
この先にいる人に会って、もといた世界に戻るためです。

そんな少女を、星はずっと見守っていました。


随分と長い距離を、走ったのでしょうか。
突然、一歩進むだけで真っ暗な闇が少女を包みました。
気づけば、星は見えません。

もう星の真下に着いたかな、それとも私はまた迷子になってしまったのかな。

少女は、自分の手を見ようとしましたが、それさえも見えないほどの闇でした。