「あんたには、手も足もある。その先が闇であったとしても、進むんだ。やつらがもうすぐ追いついてくる。その前に行くんだ。一番大きな星を目指して行くんだ。その真下に、あんたを助けてくれる人がいるはずだ」

「なんで、そんなことが分かるの」

「なんでかって? それはな、俺がこの世界で一番長く生きているからだ。なんだって分かるんだ」

旅人は、顔をくしゃくしゃにしながら笑いました。

「それって本当?」

「ああ、俺は嘘はつかない」

「泥棒なのに?」

「泥棒にも嘘はつかない泥棒がいるんだ」

少女は、おかしくてクスクスと笑いました。

「私、この世界に戻ってあなたにまた会えたら、そのときは2人で借りたものを返して一緒に謝りに行こうと思うの」

「はは、それはいい考えかもな。あんたが一緒だと許してもらえそうだな」