これは、戦争が各地で起こり、辺りの地は荒れ果て、さまざまな自然災害が発生し、さらに人々を追い詰めるかのように飢饉、疫病などが蔓延し、その度に多くの人が次々と死ぬ時代。

不安と混乱が漂っていたこの時代のある村に、一人の少女が住んでいました。農業を営む7人家族の末娘。
胸まで伸びた長いさらさらとした髪に、吸い込まれそうな大きな目。笑ったときにできる片方だけのえくぼ。
家族だけではなく、村の人たちからもいっぱい愛されて育ってきました。
周りの村は飢餓などでほとんどが廃村になりましたが、この村はなんとか残っています。

毎日の生活はいつ起きるかわからぬ災厄に不安定このうえないものでありましたが、村の人たちはいつも明るくいました。

少女はそんな村の人たちが大好きでした。