森は、とても広いようでした。歩いても周りの風景はあまり変わりません。
本当に私は、進んでいるのだろうかと不安になってきました。
吟遊詩人の手の大きさも、踊り子の温もりも、風のように駆ける騎士の馬の速さも、王子の微かに香る匂いももう随分昔のような気がします。
それが、より一層少女を孤独にさせました。

どれだけ歩いたでしょうか。太陽は、いつの間にか高く昇り、陽が容赦なく少女をじりじりと照り付けます。さすがに、少女も喉が渇いてきてました。朝から何も食べていません。段々と、体力も消耗してきました。目の前がどんどんぼやけていきます。どうしよう、私このまま死んじゃうのかな。そう思うと、体がぶるぶると震えだし、寒気が収まらなくなりました。
なんとか意識を保とうとしますが、抗うことが出来ず少女は目を閉じてしまいました。

遠くから声がする気がします。しかし、彼女は反応出来ずに意識を手放しました。